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2008年8月

2008年8月 5日 (火)

脳梗塞の早期CT所見 early CT sign

脳梗塞の早期CT所見 early CT sign

中大脳動脈皮質枝領域梗塞

  • 他の領域の梗塞でも基本は同じ

灰白質濃度の低下、すなわち灰白質/白質コントラストの低下(下記1-3)

  • 細胞性浮腫による
  • 血管性浮腫が出現すると、さらにあきらかな低濃度化と腫脹
  • すでに非可逆的な組織障害をあらわす ≒ 拡散強調画像高信号
  1. 基底核(被殻、尾状核、淡蒼球)の濃度低下、輪郭不明瞭化(obscuration of the lentiform nuclei)  →内頸動脈もしくは中大脳動脈M1近位側閉塞
  2. 島回皮質の濃度低下(loss of insular ribbon)
  3. 灰白質/白質の境界不明瞭化(loss of gray-white matter differentiation, すなわち灰白質の濃度低下)
  4. 脳回の腫脹、脳溝の消失(effacement of cortical sulci)
  5. 閉塞動脈が高吸収域(hyperdense artery sign)

4は灰白質の濃度低下を生じたあとに認められる。

5は感度、特異度とも低い。動脈壁の石灰化、ヘマトクリットの上昇した状態では、高濃度にみえてしう。1-4の所見とあわせて用いること。

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2008年8月 6日 (水)

MR、CT検査の予約待ちでお困りの方、紹介先にお困りの方

荏原病院放射線科ではできるだけ早急に検査ができるよう取り計らいます。院内のみならず、画像診断を通じた医療連携も行っています。特定機能病院(大学病院)などで、予約待ち時間が長く(たとえば1週間以上も先で)お困りの方や主治医の先生は、よろしければご依頼ください。

主治医(かかりつけ医)からの紹介状(診療情報提供書)および、主治医もしくは病院担当事務の方から直接の予約電話が必要です。

荏原病院放射線科受付 03-5734-7062(放射線科直通)

専門医による撮像プロトコール管理と診断を行っています。30分前後の検査時間をとりますので、詳細な撮像を行います。頭部MRでは全例に拡散画像とMRAを施行します。テンソル画像やMRSなど専門的な画像法を可能です。全身あらゆる分野に対応します。画像診断報告書と画像(ビューア機能のあるCDもしくはフィルム)をお渡しします。

脳血管障害救急は24時間受入れ体制

脳卒中発生に対して荏原病院総合脳卒中センター専門医療スタッフが専用電話を携帯して救急隊や連携医療機関からの要請受け入れのため24時間体制で待機しています。  

  • 脳卒中専用電話:03-5734-7100 (この電話は救急隊及び医療機関専用です。一般の方は03-5734-8000(代表)へ。)

現在荏原病院放射線科には、MRI装置が2機(3.0テスラ装置1機、1.5テスラ装置1機、Siemens)あります。3.0テスラ装置には最新の32チャネルコイルを装備しています。いずれも全身撮像仕様です。

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2008年8月31日 (日)

ラーモアの方程式

原子核(臨床MRではプロトン、すなわち水素の原子核)の共鳴周波数(角周波数、線周波数)は静磁場強度(磁束密度)に比例する。核磁気共鳴法(nuclear magnetic resonanceNMR)の基本となる式であるし、SWIの原理の理解にも必須となる。

w = 2pn = gB              式(1)

w: 角周波数 (rad /sec), n: 線周波数 (Hz = cycle/sec) g: 回転磁気比 (Hz/T), B: 静磁場強度 (T)

回転磁気比 (gyomagnetic ratio)は原子核種に固有の値で、プロトンのg42.6 MHz/Tである。

静磁場1.5-Tの共鳴(線)周波数n1.542.6(MHz/T) x 1.5 (T) = 63.9 (MHz) 、共鳴角周波数w1.563.9 x 2p (Mrad / T)となる (M106)

3.0-Tの共鳴(線)周波数n3.042.6(MHz/T) x 3.0 (T) = 127.8 (MHz) 、共鳴角周波数w3.0127.8 x 2p (Mrad / T)となる。

核磁気共鳴法は物質の磁性や化学結合の違いから生じるわずかな局所磁場(B)の変化による共鳴周波数の差異を利用するものである。たとえば同じ原子核でも分子構造によって生じる電子雲(電子の流れ)による磁場遮蔽による局所磁場の変化による共鳴周波数の差異が化学シフトである[ w = g(B-s], s:遮蔽定数]。臨床ではMR spectroscopyや脂肪抑制法に応用される。

また静磁場環境に勾配磁場を印加することで拡散情報や流れの情報を得たり、位置情報を付与する[ w = g(B+G], G:勾配磁場強度]

静磁場環境に真空以外お物質がさらされると内部に磁化が生じる。これが磁化率変化である[ w = mB, m透磁率]

さらにMR画像のコントラストにはT1緩和やT2緩和といった低エネルギー現象を利用する。

      

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T2*とT2

90°励起パルス直後からMxyは減衰し自由減衰信号(Free induction decay; FID)が生成される(図4)。FID信号はT2*減衰を示す(e-t/T2*)。T2*減衰は外部磁場の不均一性による。GRE法T2*強調画像は磁化率変化に鋭敏である。

一方SE法では、TE1 /2時間後に180°収束パルス(refocusing pulse)をかけると、分散したスピンの位相が再収束し、そのTE1 /2時間後(90 °励起パルスからTE1後)に第1エコー(MR信号)が得られる。マルチプルエコー法ではさらにある時間後(TE2 /2)に180°反転パルスを照射すると、第2の180°パルスからTE2 後、90°パルスからはTE1 + TE2 ( = 2nd TE)後に位相が再収束し第2エコーが得られる。

T2減衰曲線はスピン-スピン相互作用による位相分散による信号減衰である(e-t/T2)。T2*減衰はT2減衰よりも速く進行する。180°収束パルスによって、スピン外部の磁場環境(局所磁場磁場の不均一)による位相分散は(T2*減衰)は補正できるが、T2減衰、スピン-スピン相互作用(隣接するスピン間の微小な局所磁場)は180°収束パルスでも補正できない。

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磁化率とは

真空中の磁束密度(B)と磁場(H)強度は以下で表すことができる。

              B = m0 H                   式(3

m0: 真空透磁率

CGS単位系ではm0 = 1なので真空中では磁束密度(B) = 磁場強度(H)である(m0は単位を揃えるための係数、MKS単位系では2p×10-7。以下の磁化率の説明ではMKS単位系で表記する)。静磁場の中に置かれた物質は磁化される。すべての物質が磁性体で、静磁場に晒された物質内部には2次的に磁場(Mが誘導され磁場強度に変化が生じる(図2)。

B = m m0 H                  式(4

ここでmは透磁率magnetic permeabilityで、物質の磁化される程度を表す。また静磁場中に置かれた物質の磁束密度は真空中の磁束密度と物質内に誘導された磁化Mの和となる。

              B = m0 H + M          式(5

磁化率とは静磁場に対する物質の磁化の割合で、磁化率k は内部磁化Mを外部磁場(静磁場)で除した値である.

k = M / m0H,                   式(6

B = m0 H + k m0H m0 (1+k) H        式(7)

すなわちMKS単位系では透磁率は1+磁化率(k)となるCGS単位系では1 + 4pc)。

静磁場の磁束密度とはわずかに反対方向に磁化される性質をもつ物質(負の磁化率)が反磁性物質dimagnetismである。反磁性では磁力線をわずかに分散させ負の磁化として働くがその影響は小さく、実際は非磁性である。ほとんどすべての生体物質が反磁性を示す。一方、外部磁場の方向に磁化される物質(正の磁化率)が常磁性物質paramagnetismである(常磁性の磁化Mの絶対値は反磁性物質の磁化の絶対値よりは大きい)。常磁性は磁力線を集束し正の内部磁化を誘導し、局所磁場を増強させる。生体内ではFe2+ (デオキシヘモグロビン)、Fe3+ (メトヘモグロビン、ヘモジデリン)、メラニンなどがある。Gd3+も常磁性物質で緩和時間の短縮をきたす。

磁化率により局所磁場に変化を生じると共鳴周波数に変化をきたし[ w = g (mH) ]位相差となって現れる[ wt = g (mH) t]位相変は局所磁場の変化とエコー時間に比例する。単一の物質内では位相情報は画像コントラストに反映されないが、voxel内に磁化率の異なる物質が存在すると反対方向を向いた位相は相互に打ち消すため信号が減衰する。同一voxel内に水と脂肪が存在しているときに生じるエコー時間によって2者の位相が揃ったときには信号が増強し(同位相, in-phase)、反対方向に向いたときに信号は低下する(out-of-phase)。

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