カテゴリー「磁気共鳴(MR) 撮像と読影 (入門)」の記事

2007年9月 8日 (土)

脳虚血超急性期の画像診断の意義

「超急性期」の定義はありませんが、ここでは発症24時間以内とします。

超急性期の脳虚血(脳梗塞)症例における画像診断の意義は

  1. 急性期出血(実質内出血、くも膜下出血)の否定(鑑別)
  2. すでに非可逆的な組織障害の検出
  3. 動脈閉塞部位の診断(もしくは推定)
  4. 灌流異常域、diffusion-perfusion mismatch領域の検出(もしくは推定)

にあります。さらに1-4について具体的な撮像法をあげると

  1. CTによる急性期出血の否定
  2. early CT sign もしくはMR拡散画像による細胞性浮腫の検出
  3. CTによるHyperdense sign, MRAのTOF欠損、T2強調画像のflow voidの消失、FLAIRのintraarterial signal、T2*強調画像もしくはSWIによるsusceptibility sign、
  4. 造影灌流画像(TTP, MTT, rCBV, rCBF)、もしくはSWIによるmisery perfusionの評価

を用います。

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2007年9月11日 (火)

超急性期脳虚血の画像診断:目的

画像診断は発症後、来院後すみやかに施行するようにする。治療開始の律速段階にならないように注意する

  1. 非可逆的な組織障害の検出early CT sign, 拡散画像
  2. 動脈閉塞部位の診断MRA, T2WI, FLAIR, T2*WI, (hyperdense sign)
  3. 灌流異常領域の検出CT造影灌流画像MR造影灌流画像
  4. 病型の診断:虚血の進展範囲、発症時間との関係、発症様式、背景因子などから

       青字はMR,赤字はCT、( )内は鋭敏度、特異度の低い所見

  • 1.2からdiffusion (or early sign)-perfusion mismatchの存在を推測
  • 1.3からdiffusion (or early sign)-perfusion mismatchを評価→ischemic penumbra

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脳血管障害を疑ったら、まずは画像診断

  • 脳梗塞などの脳血管障害は急性に発症(症状が出現)します。「急性」といっても今まで健康であったひとが突然に片麻痺や意識障害をきたす場合や、数十分から数時間、ときに数日間かけて症状が増悪、完成することもあれば、軽度の一過性の症状をくりかえし次第に増悪し、症状が完成することもあります。
  • 初発症状は意識障害や片麻痺、失語(会話できない、理解できない)など、誰にでもわかる重篤な症状のこともあれば、痺れや脱力、喋り方がおかしいといった脳血管障害とは気づきにくい軽度の症状からはじまることもあります(脳血管障害を疑う症状については別の機会に紹介します)。
  • 救急外来で、現病歴や現症から脳血管障害が疑われるときは、神経内科医、脳神経外科医、救急医による神経学的な診察の後に、なるべく早期に放射線科で画像診断が行われます。救急ベースで施行される画像診断法としてはCTMRIがあります(CTはX線コンピュータ断層撮影装置、MRIは磁気共鳴コンピュータ断層撮影装置です。MRIはMRと称することもあります)。また施設によっては救急外来で頸動脈超音波検査を施行することもあります。

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脳血管障害? まずはCT!

  • 救急で脳血管障害が疑われたら、まずはCTが施行されます。CTでは急性期の出血(脳実質内出血やくも膜下出血、慢性硬膜下血腫など)がほぼ確実に診断できます。急性期の出血はCTでは高吸収域(「白く」映る)を呈します。脳梗塞の治療を進める上では急性期の出血を否定することはとても重要なことです。急性期脳梗塞はCTで低吸収域(「黒く」映る)を呈します。
  • CTは全国、ほとんどの救急病院で、24時間いつでも、緊急対応が可能で、検査が始まれば数分以内で終了する、非侵襲的な安全な検査です。結果(診断)もすぐにでます。CTではX線を使用するので、被曝を心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、1回や期間をおいた数回の経過観察のCT検査で人体に有害事象を生じるような被曝はありません*。
  • 急性期の梗塞はCTで低吸収域を呈します。しかし梗塞は血流供給停止により正常脳が経時的に徐々に機能停止→浮腫→壊死してゆくので、突然発症例でも発症早期ではまだCT画像の色の変化が軽微なことがあります。このわずかな色の変化(脳梗塞の早期CTサイン)をできるだけ早期に診断することが重要です。
  • この脳梗塞の早期CTサインを高い精度で検出するために、専門医のいる施設ではガイドラインにしたがって適切な撮像条件の設定や診断のための読影訓練をしています。したがって、脳血管障害や画像診断の専門医が常勤する施設の受診をお勧めします。
  • 一方、MRIで拡散画像という撮像法を用いれば、早期CTサインと同等もしくはそれ以上の精度で、脳虚血を診断することが可能です。次にMRについて説明します。

*とくに放射線科専門医が常勤し、CTの撮像法の決定や診断を行っている施設では、放射線の被曝について十分な管理がなされています。

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脳虚血超急性期のMRプロトコールの一例

荏原病院放射線科における脳虚血超急性期のMR撮像の目的とプロトコールを示します。

1.緊急MRの目的と方針

  • 脳虚血による組織障害の早期検出(拡散画像)
  • 主幹部、皮質枝の閉塞の有無、閉塞部位の同定、灌流異常域の推定(FLAIR, MRA, SWI,  T2*WIなど)
  • 灌流状態の精査(造影灌流画像、SWIなど)
  • できるだけ速やかに検査を遂行する。とくにtPA血栓溶解療法の適応が考えられるときは、CT,MRのうち、早期に対応できるほうから施行する。MR検査が治療開始の律側段階にならないようにする。

2.緊急MRプロトコール例 (1.5-T装置)

  • 拡散強調画像、ADC画像 (SE-EPI, b=1000):細胞性浮腫(非可逆的組織障害)の早期検出
  • FLAIR : 皮質枝の描出(intraarterial signal, IA sign) →灌流異常域の推定。くも膜下出血の検出
  • T2強調画像: 陳旧性梗塞の検出、超急性期血腫の検出、内頚動脈閉塞の診断
  • MRA: 主幹部閉塞、再開通の有無、Willis動脈輪形態と側副血行の可能性

さらにFLAIRでintraarterial signalが認められ、灌流異常の存在とdiffusion-perfusion mismatchが予測されるとき

  • 造影灌流画像: TTP, MTT, rCBV, rCBFを評価

このほか、時間猶予があるときにSWIを施行、また多施設研究のためにT2*WIを、脳腫瘍などとの鑑別を要するときはMR spectroscopyを、動脈解離を診断するときは造影MRA(元画像による評価)などを施行する。

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2007年9月14日 (金)

今日からMR拡散画像を勉強する方へ:拡散画像のエッセンス

拡散画像

  1. 拡散強調画像 DWI diffusion-weighted imaging
  2. みかけの拡散係数 ADC apparent diffusion coefficient
拡散が抑制された(低下した)病変
  • 拡散強調画像(DWI)で高信号 
  • みかけの拡散係数(ADC)は低下→ADC画像では低信号 
脳梗塞超急性期の細胞性浮腫
  • DWIで高信号
  • DWIは他のMR撮像法(T2強調画像やT1強調画像など)やCTよりも早期に超急性期脳虚血を検出
  • ただし灌流画像はDWIよりも早期に脳虚血を検出する 

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MRによる拡散測定の原理

  • Spin echo型EPI
  • 180°位相収束パルスの前後に対称的なMPGパルスを等時感覚に印加
  • MPG:motion probing gradients
  1. 静止しているプロトン→位置移動がないので、MPGの大きさが同じで位相変化が打ち消される→信号は低下しない
  2. 拡散(位置移動)しているプロトン:位置移動→受けるMPGの大きさが異なる→位相が乱れる→信号低下
  • 拡散はT2やT1、プロトン密度とは独立したパラメータである。
  • 組織成分や組織構築といった微細な生体環境を反映する。

「diffusion_2.ppt」をダウンロード

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拡散画像:b値 b-value

拡散強調のためのMPG (motion probing gradients) の強さ    

  • 単位 sec/mm2

MPG印加→拡散プロトンの位相が分散

  • MPG印加時間が大きいと拡散プロトンの信号強度は低下

大きなb値のMPG印加 → 灌流の影響が減少

  • 真の拡散を強調
  • b = 400-500 sec/mm2 以上で灌流の影響が無くなり、拡散強調画像が得られる。
  • 脳組織の拡散評価には b = 1000-1200 sec/mm2 程度を用いる。

「diffusion_3.ppt」をダウンロード

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2007年9月18日 (火)

拡散強調画像(DWI)とみかけの拡散係数(ADC)画像 (

拡散         拡散強調画像   ADC (画像) 
大きい           低信号        高値 (高信号) 
小さい(抑制)   高信号        低値 (低信号)

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2007年9月19日 (水)

ADC 1

みかけの拡散係数 apparent diffusion coefficient

(作成中)

「adc_1.ppt」をダウンロード

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